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復活! EVスーパーセブン

2013年11月10日。

京都は朝からしとしと雨模様。今日は、京都市街の南、久御山町にある『ITM』という会社のファクトリーで、EVスーパーセブンのチェックと復旧作業をやることになっている。

ところが、朝4時から洗った洗濯ものを乾燥機にかけようとコインランドリーに行ってみると、見知らぬおじさんが私の下着やシャツが入った洗濯機のふたを開けておろおろしている。洗濯機の中を確認せずにコインを入れたから、せっかく脱水が終わった私の洗濯ものにまた水が注がれてしまったようだ。

しょうがない。

ひとつひとつ手絞りして乾燥機に放り込み1時間乾燥させてみたが、小さな乾燥機だったこともあってか、まだなにもかも濡れたまま。脱水は30分だけのつもりだったから、30分延長した分だけITMへの集合時間に遅れそうなことになってしまった。

やれやれ。

やむを得ず、濡れたままの洗濯ものをランドリーバッグに詰め込んでホテルをチェックアウト。なんとか、15分ほどの遅れでITMに到着した。

トラブルにはトラブルが重なりがちなもの。

脱水した洗濯ものに水を掛けられるのが、何か大きなトラブルを吸収するアブソーバーになってくれればいいと、いらつく自分をなだめておいた。

 
作業はすでにスタートしていた。

EVスーパーセブンはモーターを搭載している前部が二層構造になっていて、3パラレル(並列)の電池が搭載されている。上下の段は厚いアルミ板で仕切られていて、配線が固定されている。昨夜のチェックで、不具合はどうやら下段の電池回線にありそうだと予測がついていた。

作業は、いくつものカバーや配線を丁寧に外して、下段の電池回線を細かくチェック。問題を取り除く。

いわば、EVスーパーセブンの開腹手術。

複雑に絡み合った配線類は、あたかも内臓のように見える。

狭いスペースに押し込んである配線は複雑だ。

ひとつひとつ、記録写真を撮影しながら作業が進む。

 
作業には、EVスーパーセブンを製作した八戸の東北自動車からチーフメカニックの恩田さんが駆けつけてくれた。

さらに、ITMと、系列会社であるIKSのスタッフ。

加えて、15年ほども前からEVでの南極点到達を目指し、厳冬期の樺太をEVで駆け回った経験もある冒険野郎、EVクラブのなかでも抜群の猛者である、京都在住のアイアンバール鈴木さんが、2人の仲間とともに助っ人にやってきてくれた。

お昼はほか弁。

解体チェック作業が淡々と進んでいく。

 
私は、クルマのチェック作業を眺めていても役立たずなので、作業を横目に、滞っていた旅ブログの記事を書きまくる。PCのキーボードは不調のままだが、ブルートゥース接続のキーボードに加えて、マウスも買ってきたから、昨日よりは快調に入力が進む。

作業開始から11時間が過ぎた夜8時前。

EVスーパーセブンから、ヒュオーーンと快調にモーターが回る音が響いた。

復活! である。

 
不調の原因は。

電池を制御するシステムを繋ぐ、細かい配線の問題だったようだ。

新潟の日本海で潮を浴び、台風の豪雨の中を突っ走り。毎日何度も急速充電を繰り返しながら、スタートから40日ほども連日、6000km以上を走ってきたEVスーパーセブン。

手作りの、繊細な配線が悲鳴を上げた。

 
ともあれ。

トラブルは解決。

解体整備で丁寧に配線を繋ぎなおしたEVスーパーセブン。

あとはゴールまで、きっと、快調に走りきってくれるだろう。

 
それにしても。

東北自動車が丹精こめて作り上げたEVスーパーセブンは、手作りEVとしてはすばらしい出来なんだけど。こうしたトラブルを回避するために徹底的に作り込まれているメーカー製の市販EVはやっぱりすごい。

メーカーだから当たり前といってしまえばそれまでだが、起こりうる様々なリスクを想定して、細部にまで手間とお金を掛けて安全を担保する力は、日本メーカーの強み、エンジニアの凄さ、ともいえるだろう。

今日ここに集まってくれた人たちのような、技術と知識と熱意を詰め込んだエンジニアたちが、メーカーという看板を背負って毎日汗水流している。そのことを想像するだけでありがたくて、日本人として誇らしい思いがする。

 
ホテルへ戻る車中。恩田さんと談笑。

東北自動車スタッフの川口さんは、私が電池をさわろうとして感電する夢を。高橋さんは、正面衝突して血まみれでクルマから這いだそうとする私の姿を夢に見たらしい。

おいおい。

なんて夢をみてくれちゃってるんだか。中里社長はトラブル発生以来、心配して電話をくださっている。川口さん、高橋さん、社長を見習うべし。(笑)
 
 

EVスーパーセブンによる今回の旅は、手作りだからこそ実現できるちょっと先鋭的なチャレンジだ。

手作りだから起こりうる、この程度のトラブルは想定内。

むしろ、みなさんの力を集結したおかげで、無事に再スタートが切れそうなことを喜びたい。

 
さて、今日も一日京都に滞在。

いくつかの場所を訪問して復活したEVスーパーセブンをお披露目する予定になっている。

旅の日程も残りわずか。

とにかく、無事に走りきってやる。


3 Responses to “復活! EVスーパーセブン”

  1. 阿部

    よかったですね! EVは人のココロで動かすモノだとあらためて感じました。
    未来はこうして創られるんですね。もうすぐゴールしちゃうのがなんだかさびしいです。

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  2. ピーター・ヒューズ

    復活!おめでとうございます。
    記事を読んでいると、本当にメーカー製のすごさを感じます。以前、オーディオメーカーの方と話したことがあって「一般ユーザーは、我々エンジニアが想像もつかない使い方をして壊してくれる(笑)」と言ってたのを思い出しました。EVスーパーセブンも相当しっかり造ってあるんでしょうけど、メーカーはそこから更に何度もテストするのですかね。頭がさがります。
    これからの道中も、お気を付けてください。

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  3. 鎌田 浩

    セブン復活おめでとうございます。
    もう京都まで走られているのですね。
    10日はちょうど太秦映画村で午前中観光してました。

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