学生フォーミュラTSF19Eの製作

耐久走行中のTSF19E。

耐久走行中のTSF19E。

レポート/菱沼 雄祐(東京都/トヨタ東京自動車大学校)

DATA
ベース車:─
完成日/製作期間:2019年8月24日/10ヶ月
ナンバー取得日:─
総費用:3,500,000円

レポート

専門学校トヨタ東京自動車大学校では、スマートモビリティ科を主体とした学生フォーミュラチームを組織し、学生フォーミュラ大会に参加している。このTSF19Eは、2019年日本大会への参加に向けて製作した車両である。

参戦2年目の2018年大会において、初の車検突破・走行競技進出を果たしたものの、走行することが精一杯であったTSF18Eの問題点を洗い出し、モーターやコントローラー、バッテリーなどの主要部品を継続使用したうえで、フレームや足廻りなどを一新し、クルマとしての性能を大きく向上させた。

しかし、設計段階での性能検討において加速性能の検討方法に誤りがあり、ディファレンシャルギヤのギヤ比を低くしすぎるというミスがあり、本来想定していた加速力が出ないことに加えて、学生フォーミュラ特有の安全規則に合わせるための電子制御スロットルの設計が悪く、アクセルレスポンスが非常に悪い車両となってしまった。その影響もあり、走行競技における成績は振るわず、耐久走行も電欠にてリタイヤを余儀なくされた。

この大会におけるEVは走行できる車両が少なく、完走を果たした車両はエントリーした26台のうち僅か2台という残念な状況であり、我々の車両は「まだまともに走っているほう」だと言える。国内チームとしては、名古屋大学が四輪インホイールモーター+トルクベクタリングを使用した車両で総合上位を獲得しているが、日本大会のEV参加車両全体のレベルとしてはそれほど上がっていないと言える。

来年度は、今回の問題点を改善しつつ、20年物のDCブラシモーターを継続使用して性懲りもなく走らせるTSF20E(仮)を製作予定である。来年もこのレポートをお届けできるように活動を続ける。

日常の使い方

・使用目的:「学生フォーミュラ日本大会2019」出場。

・使用頻度:上記大会開催時、年1回&各種イベントにて展示。

・充電器と充電方法、トラブル、充電に際しての注意点:(株)高砂製作所様より無償貸与頂いた安定化電源にて、定電流定電圧充電法を実施。BMSにて各セル電圧および全セルの内25%のセル温度を監視している。異常発生時は、充電回路が自動的にシャットダウンする機能を搭載している。大会参加時、シャットダウン回路の不具合があり、充電できないというトラブルが発生した。

自慢話

学生フォーミュラ大会公式ブログにて話題になった、走行時の静粛性の高さ。

失敗談

ファイナルギヤのギヤ比を低くしすぎたことで、電力消費が増え、耐久走行時に電欠してしまった。

>>> 車両データ(PDF)

チーム全員で集合写真。

電気車検を受けるTSF19E(モーターはドライバー後方に縦置きとし、ディファレンシャルと直結。ドライバーの左右にリチウムイオン電池を搭載)。

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