参加者公募します!
『年末年始北海道EVジムニー耐寒走行訓練』

ポギビ村(ロシア・サハリン州)の凍った海の上で、風車&ソーラーパネルで充電中のEVジムニー2号機

京都支部/鈴木 一史(ZEVEX)

ZEVEXは、自作のEVジムニーで南極点走破をめざしています。
今から20年前、2002~3年にかけての年末年始、ZEVEXは、後に厳冬期サハリン遠征に参加することになるメンバーを中心に、EVジムニーを北海道に運んで、耐寒走行訓練を実行したことがあります。石狩湾沿いの、冬季閉鎖中のオフロードコースに無理をお願いして、野営と風車を展開する場所をお借りしました。吹き流し式入口の山岳テントで7泊8日のガチキャンでした。日中は6機の風車と僅かなソーラーパネルを展開してEVジムニーを充電し、周辺の公道を使って走行訓練を繰り返しました。

途中、爆弾低気圧が日本海を北上し、テントの風上に雪のブロックを積み上げて、防風耐壁を構築したにも関わらず、ヒマラヤ遠征チームも使ったというテントのジュラルミン製ポールが折れるハプニングもあり、充電&走行という話の前に野営自体が大変でなかなかに厳しい訓練だった想い出があります。

訓練に使用したEVジムニーは、屋根どころかドアもない完全オープン仕様の個体で、EVにコンバートしたので暖房もない車両でした。それでも冬の北海道を平気で走れたので、きちんと冬の装備さえすれば、暴風雪の北海道でもEVは大丈夫なことを、図らずも20年前に体現していたことになります。

そんな冬の北海道の耐寒走行訓練から20年。ZEVEXは、この年末年始(2022年)に再び冬季北海道でのEV耐寒走行訓練を実行します。使用するマシンは、20年前と同じ屋根なしドア無し暖房もない現存最古のEVジムニー「SJ2001」号です。もっとも、当時は鉛-酸だったバッテリーも今ではリチウムイオンになり、さらにはクロカン四駆EVとしては日本で1台だけ、チャデモの急速充電器が使えるマシンに進化しています。なので今回はサステナブル電力にはこだわらず、耐寒走行訓練としての効率を上げるために急速充電器でバンバン充電して、走行メインの訓練とするプランを考えています。

20年前は再生可能エネルギーからの充電に時間と体力を取られ過ぎたため、公道での走行訓練が不十分に終わりました。北海道まで行くにはお金もかかるので、今回は北海道でしか経験できない、低温環境でのEVの走行訓練を優先するプランにするつもりです。
さらには急速充電器を利用すれば夜も充電できますから、より寒さの厳しい夜間走行も一部組み入れた日程を考えています。EVジムニーには一度に2名しか乗れませんので、サポートカーも走らせます。サポートカーとEVジムニーとを適宜に乗り換えながら、全参加者がまんべんなくEVの耐寒走行を経験できるように配慮します。

詳細は未定ですが、せっかく年末年始に北海道へ行くので、「年越し宗谷岬」のイベントには参加しようと思っています。EVで「年越し宗谷岬」に参加した人はまだいないので、今年実行すれば確実に「EV日本初」です。氷結間宮海峡アタックに比べれば、遥かに可愛いチャレンジではありますが、暖房ぬくぬくのEVでやるわけではなく、事実上単車と変わらない屋根・ドア・暖房なしEVジムニーでのチャレンジなので、多少は値打ちがある気もします。

実は「年越し宗谷岬」には20年前も行きました。1充電で35kmしか走れなかった当時のEVジムニーでは間に合わないので、ディーゼル車で行きました。その頃の「年越し宗谷岬」は今のようにメジャーなイベントではなく、花火が上がったり市長さんが来て記念品を配ったりという類いの特別な演出は皆無でしたが、好き者のライダー達が岬の一画にテント村をつくっていらっしゃいました。

さて、ZEVEXではこのEVジムニー耐寒走行訓練に、非隊員を公募してみようと考えています。情熱ある新しい仲間と交流を持ちたい。そんな想いからです。1名とか2名とか少人数に限った募集になると思います。全日程を通して参加する人を希望しますが、一部日程だけの参加は駄目と決めている訳でもありません。参加費も部外者だからと言って多めにいただくようなことはしません。チームメンバーと同じ金額で構いません。基本的に「訓練実費の頭割り」です。メンバーと同じ金額と言っても、EVジムニーをここまでつくり込むために、チームメンバーはこの25年間多額の費用を使っておりますから、「実費頭割り」は、我々からすれば大々サービスである事情はご理解下さい。

参加希望者は、ZEVEXと検索すればHPが出ますので、そこから一度コンタクトいただければと思います。私の独断と偏見でしかありませんが、一応面談はさせていただいて、参加をお受けするかどうか?を決めたいと思います。相応の危険性もありますし、全て自己責任の活動ですから、決して参加を薦めるものではありません。けれども、今の日本にZEVEX以外、この種の活動を行える集団はEV界にも四駆界にもありませんから、EV好き冒険好き方にはまたとないチャンスだと、我々は考えています。

最北端のモニュメント、宗谷岬記念碑とEVジムニー初号機。2006年プラグインハイブリッド日本列島縦断スタート時

7泊8日の雪中ガチキャンで使った山岳テント。入口は古典的な“吹き流し”式だ

雪中走行訓練

使用するEVジムニーは、日本のクロカン四駆では唯一、チャデモ急速充電器が使える

●『日本EVクラブ会報 2021』 トップページに戻る