私目線のEVレポート

古川 治

2023年に入り、世界的に加速度的なEVのトレンドのように感じる。
アメリカではフォードがF-150 Lghtningやリビアンなど、大型系EVの投入も始まった。当然、経路充電でのインフラが課題となるが、テスラのスーパーチャージャーの他車への開放でひとまず充実するが、充電器使用方法におけるルールづくりも早急に必要。
中国の勢いもすごい。驚いていることは、インドネシア・タイ・シンガポール・マレーシア・オーストラリアなどで、中国製のEVが国民に受け入れられつつあるということ。特に、インドネシア・タイは日本車信仰が強い地域だが、そのタイでBYD ATTO3が1カ月10,000台の受注を受けたと聞くと、日本人にとっては衝撃で複雑な気持ちになるだろう。GWM(長城汽車)とGMもEVのブランドとして浸透しつつあるようだ。
日本へは今年BYDが上陸したが、次はGWMが来るような気がしています。

リビアン

フォードF-150 Lghtning

<2022年11月 ラスベガスSEMA SHOW・テスラモデル3での移動>

ロスアンゼルス空港に到着後、テスラモデル3をレンタルし、帰国までの2週間思い切り使ってみた。
L.A.からラスベガスまで約500km、ナビを見ると途中のインターチェンジには多くのスーパーチャージャー(以下SC)があり1か所あたり10-20基のため何ら問題なし。まずアメリカではテスラのナビは“使える”ということにビックリ。日本に比べ通信も安定しており地図画面の遅延はない。また、SCの空き数の表示、行程途中にSCが満車になるとナビが近くの別の場所に誘導する。また、ゲート付きの駐車場内のSCの場合は、ナビ画面に無料入場用のパスコードも表示される。各所のSC料金も表示があり、ほとんどの場所でオフピークタイムが割安な設定となっている。
ラスベガスSEMA SHOWは10年ぶりだった。SEMA SHOWは日本でいうオートサロンに近いのものだが、実は違う。整備機材やドレスアップなどのいわゆる「アフターマーケット」の業者向けのトレードショーである。
新しいアフターマーケットビジネスを真剣に考えるもので、日本のよくある「見せておしまい」のようなショーではなく、販売機会、商談会が目的であり、新しくビジネスを始める人々へのセミナーなども充実している。
今回驚いたのは、EVゾーンができており、メーカー製EVやコンバートEVも多々展示、部品の販売もされていた。プレーヤーが非常に増えていた。さらに、EVに関する4つのセミナーもあった。
アフターマーケットにおいてのEVへの浸透も少しずつ始まっていることを実感した。

L.A.に戻り、ピーターセン自動車博物館へ行った。出迎えたのはテスラのSEMIである。
さらに驚いたのは、なんとGM EV1が展示されていたのである。現物のEV1を見たのは、今回の旅で一番感動的だったかもしれない。

テスラレンタカー

SC

EVセミナー

コンバートEV

Tesla SEMI

GM EV1

<2023年1月 リーフのバッテリーアップグレード>

私自身がオーナーである、OZ Motorsで日産リーフのバッテリーアップグレードサービスを開始した。常々コンバートEVでリーフのバッテリーを使っているせいか、これまで上記のリクエストを多数いただいていた。いよいよそれを実現させた。これまでになかった新しいサービスであり、アフターマーケットにおけるサービス費用としては高額のため、難しいと思っていたがおかげさまで良いスタートができた。
(初代)リーフという車は、私にとってコンバートEVに向かわせた大変思いのある車である。バラしてみても非常に造り込みの良い車であり、問題は短すぎる「航続距離」だけである。これが40kWhに化けると、全く別物の相棒に化ける。入庫車両は24kWhで5-6セグのものが多く実質航続距離は50-60kmも多々。これが、40Kwhへの換装で
250㎞程度に変わる訳で、リーフ乗りにとってまるで絶望から夢のような感動的な出来事なのである。自身で最初のテストインストールをした時に、航続距離50㎞程度の表示の車が、容量セグメントも復活して260km表示になった感動は今でも忘れられない。
このようなサービスは、これからのEV普及により必要になっていくと思われる。
それと共にEVの付加価値の向上、これからもEV社会に貢献できるサービスや商品を提案していきたいと考えている。

交換前

アップグレード後

<2023年3月 BYD ATTO3購入>

3月25日、一足先にBYD ATTO3を納車いただいた。何より真っ先に最新のブレードLFPバッテリーを体感、検証してみたいと思っていた。コンバートEVやバッテリーアップグレードサービスに必要となる電池の特性をいち早く得て、今後の安心したサービスの提供を実現していきたい。また、コンバートEVを製作していくうえでも、最新のEVの設計意図やインフォテイメントなど、刻々と変化する「自動車の新しい魅力」を捉えていくことも重要。
実際に東京から大阪など長距離も走ってみたが、60kWのバッテリー容量、85kw急速充電対応、ACC性能、トルク、車内の静かさ、これらはまったく問題ありません。高速道路でEVはこれまで左車線を走る姿が多く見られましたが、エンジン車同様に右車線を余裕で追い越す姿を見る機会も増えていきそうです。私の中では、EVは短距離専用ではなく、もう「普通のクルマ」という感覚です。
使用過程において、今後のバッテリー状況など、お知らせしていきたいと考えています。

<2023年4月 台湾 AMPA SHOW>

こちらも前述のSEMA SHOWと同様、「アフターマーケット」の業者向けのトレードショーになります。
10年ほど前から、e-mobility Taiwan(旧名称 EV Taiwan)というイベントと共催しており、EVの部品などが紹介されています。今回も目的は、FoxconnのEVです。そうこれは鴻海精密工業です。iPhoneの組み立てメーカーとして有名であり、少し前のデスクトップPCを開けてみればFoxconnのマザーボードを発見することができます。
Foxconnは3台のEVを展示しておりました。EVにおいても組み立てメーカーを目指しており、得意とするソフトウェアを含めたプラットフォーマーを目指しているようです。
テスラのギガプレスにおいてもそうですが、クルマ造りの手法は「こうあるべき」という、いわゆるこれまでの常識的なものが確実に変わってきています。現在、EVは経済と同じく、中国とアメリカが指標的中心となると思われますが、中台関係の課題もある台湾のFoxconnがどのような会社と手を組んでEVに本格的参戦してくるのか注目されます。

<2023年9月~ バッテリー安全基準強化 コンバートEVの未来>

EVに関するバッテリーの安全基準がさらに強化されます。施工は2023年9月の受験車両からになります。
強化内容は、冠水走行等の水に対する絶縁保護要件です。コンバートEVも当初の鉛蓄電池から、リチウムイオンバッテリーへ、電圧も48~100Vの時代から300-400Vへと非常に大きな変化を遂げています。特に高電圧化は安全性を確保する上では重要なことです。
自動車の保安基準の原則的な決まりとして、「従前適用」というのがあります。「従前適用」というのは、決まりはその年式に遡り適用するということです。例えば、旧車の赤色のリアウインカー、現代の車ではNGですが、
旧車はその当時の決まりに適合していればOKなので、車検は問題ないし違反でもありません。運転席のヘッドレストも同じ考えで、旧車にそれがなくてもOKなものもあります。
そう、バッテリーの安全基準は、このような旧車においての「従前適用」という考えが除外されるのです。
その時代にそもそもEV走行用バッテリーの安全基準がないのだから「従前適用」でOKとならないことに注意が必要です。これからEVの普及につれて、当然ながら母数が増えれば事故による火災なども増えていくことになります。(もちろん未だエンジン車も燃えますが。)
コンバートEVにおいても、この安全基準としっかりと向き合っていき日本のコンバートEVの文化が消滅しないよう尽力していきたいと思っております。

コンバートEV

最後に

やっとEVの時代が来ました。日本にいると訪れていないように錯覚してしまいますが、世界を見ればEVトレンドは疑いもなく明らかです。
日本EVクラブに25年以上の歴史があるというのは本当に驚きであり、今日まで継続して活動し続けていることにも尊敬の念が深まるばかりです。
早いもので私もEVに携わってから13年になります。コンバートEVで、鉛蓄電池からリチウムイオンバッテリーへの変化、ブラシモーターからIPMモーターの変化、バッテリーマネジメント、サーマルマネジメント、ソフトウェアと、この大きな時代の変化に何とか乗ってくることができました。ありがとうございます。
私はEVが大好きであり、今後も引き続きEVで社会を明るく、幸せにするお手伝いを続けていきたいと考えています。今後ともよろしくお願いいたします。

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