2020雑感

石崎 啓幸(神奈川県)

かつてない一年であった。昨年を思い出すとそんな言葉しか出てこない。ボキャブラリーのなさに腹も立つのだけれど、本当に生活習慣から会社勤務まで、常識とされたものがこんなに簡単に変わってしまうものか、と驚かされた日々であった。

三軒茶屋のスーパーに何故か鎌倉から出勤していた自分が、まず変化に驚いたのはJR線の乗車率の変化だった。遅番出勤(14:00~23:00)の帰りは23:40品川発の湘南ライナー(知らない方、ローカルな話で申し訳ない。必ず座れて品川の次が大船という楽チン電車なんです)に乗っていたのだが、ある時から1車両に10人以下という状況になってしまった。当然こちらとしては、楽な上に乗車人数も少なければ環境的にも良い、と当初感じていたが、すぐに「このままでは不味い、運行を打ち切られてしまうのではないか」と思うようになった。結果として湘南ライナーはこの春から「特急」に格上げされて存続が決まったが、JR東日本そのものが巨額な赤字経営になり、回復には時間がかかりそうだと経済アナリストから発信されるなど、経済が大きく変化してしまった。

伝染病(単に「新型コロナ」と言うだけでは状況が伝わりにくい、これは伝染病ですよ)はキャリアがいて、知らずに罹患してしまう。だから「”密”を避けて不要不急の外出は控えてください」などアナウンスされ始めた頃から(正確には学校の休校が始まった頃から)スーパーの売場から商品が消える(買われる)事態が多発した。最初はトイレットペーパー、便乗でティッシュペーパー、食品ではインスタント麺、ホットケーキミックス、小麦粉、パスタ、パスタソース、続いて調味料、スナック菓子と続き、まるで3.11のごとく買いだめが横行した。レジアルバイトの連絡が取れなくなり、自宅に連絡をいれると親御様から「子供を病原菌のいるところに行かせたくない」(本当にあった話。当時はそんな状況だった)と言われ、そこに勤務している自分達って?と悲しくもなった。その一方で自分が感染者にならないよう旅行・飲み会・イベント参加をすべてなくし、白馬もEVフェスも昨年は参加することなく終わってしまった。

車庫に鎮座するアイミーブの電池劣化が気になりもう1年になる。昨年車検時に電池交換費用を聞いたら百万円超えと言われ絶句。しかも初期型のバッテリーを乗せ換えるだけ(要は改良したバッテリーに変更できない)。さらに「バッテリー事故で10年式のアイミーブのお客様全取替されましてね」などと笑顔で事故例を紹介されるなどクルマに対する信用も堕ちてしまう(三菱さん、アフタフォロー少しは考えましょう)。だけど次のEVが見つからない。家の車庫に入らない立派なサイズのプレミアムEVはそこそこデビューしているのだけれど、全長4m程度のクルマがない(必然的にBMWi-3になるのだけれど、新車は6百万するからなあ)。ちまたの話題はネットワークでバージョンアップするソフトを掲載する次世代カーで持ち切りだが、その前に安いEVを出して欲しい。日本電産の社長の話ではないが、EVはコモディティー化しやすく、参入障壁もエンジン車に比べると低い、海外から安いEVが入って来る可能性を否定できないとのこと。デザインで勝負する安いEVが出てきたら一気に流れが変わる可能性もあるのではないか?(個人的には19年東京モーターショーに出品されていた「マイクロリノー」(イセッタのオマージュっぽいEV)など好きなんだけど)どうか、メーカーには「マジメ」にEVの開発を進めて欲しい。限定千台とか。法人リースとか、やる気のない販売はやめて欲しい。
そして。売るからにはバッテリーの交換をどうするのか、提案を出して欲しい。できるだけ早く、ね。

日本EVクラブ会報 2020 に戻る