KPCEV-09

展開時のKPCEV-09。

レポート/後藤 聡(栃木県立鹿沼高等学校サイエンス部・栃木県)

DATA
ベース車:オリジナル
完成日/製作期間:2020年11月/約1年
ナンバー取得日:─
総費用:65,000円

学生レポート

プロジェクトリーダー:粂川 太希
我々は昨年度発表したKPCEV-08にさまざまな改良を加え、高齢者の身近な足となるEV、KPCEV-09を作りました。KPCEV-08の改善するべき点として、①乗っているときに安定感がない、②折りたたみに時間がかかることの2点が挙げられました。特にこの2つは高齢者を助けるEVを目標とするにあたって改善しなければいけない点でした。

まず安定感がないことの対処として先輩方の意見もいただき車椅子型にすることにしました。結果的に車椅子型にしたのは成功で、前作よりも遥かに乗りやすいものになりました。私が乗ってみたところ、一度乗ってハンドルを握ってしまえば、力を入れたりバランスを保ったりするように意識する必要はほとんどありませんでした。

次に折りたたみに時間がかかる点ですが、椅子やハンドルなどの構造を改めて設計することで、こちらも前作より組み立てやすくなりました。折りたたんだ状態ではキャリーバッグのように持ち運びができます。自分たちでも驚くほどスムーズに持ち運びができます。また前作に搭載されていた超音波式の自動ブレーキもついています。こちらも改良し、より早いスピードで走っていても早く止まることができるようになっています。

大変だった作業は椅子やハンドルの製作です。折りたたむための構造と乗りやすくするための構造の両方を考えなければいけなかったからです。実際に自分たちが乗ったときに乗りやすいか、使いやすいかを考えながら製作しました。

また私たちには残念ながら後輩がいないので先輩たちが受験勉強期間に入り、部活動を卒業されてからはさらに大変でした。はんだごてや配線など基礎的なところでも失敗することがあり、まだまだ学ぶことが多いと思いました。

来年度への改善点としては、折りたたみを一人でも行うことができる設計にしたいと思います。やはり高齢者が使うことを考えていくと少ない力で動かせることが大切だと考えます。まだまだ改善点はあると思うので今後考えていきます。

今年度はコロナの影響もあり昨年度と比べて製作スピードが落ちたのはもちろん、日本EVフェスティバルにも我々生徒は行くことができなかったので、先生や生徒以外からのアドバイスや乗車の感想を直接聞くことができなかったのは非常に残念です。来年度は現在のメンバーが全員高校3年生になってしまうので、なんとしても1年生の新メンバーを入れて、EVフェスティバルに参加させたいと思っています。

芝間 優吾
今回の作品は「持ち運びがしやすい」「折りたたみ式」「早すぎず乗っていて怖くない」など、自分たちの中で目標を設定した。個人的には目標に近づけたのではないかと感じた。形状は車椅子に近くし、体が不自由な人が乗ることを想定して設計した。しかし、組み立てや折りたたみは複雑かつ、少し力が必要であるため体が不自由な人に親切なものとは言えない。折りたたみ式や持ち運びやすいなどの良い点も活かしつつ、より簡単に組み立てられるようにするなど反省を活かし、次に繋げたいと強く思う。

鈴木 得ノ心
前回のEVフェスティバルにおいて「次回はKPCEV-08の自動ブレーキを活かし、駅から自宅などのラストワンマイルに最適なEVを作って欲しい」という舘内代表のお言葉をいただき、私たち物理部はその課題に向けて尽力しEVを作り上げたと思います。しかしながら、操作性や自動ブレーキ、折りたたみの仕組みなどまだまだ改善できる点があります。私はそれを問題点としてではなく、私たちのEVの”伸びしろ”だと考えています。これまでのEVの良さは活かしつつ、さらにグレードアップをしたEVを次回でも作ろうと思っています!

寺内 祥起
前回のEVフェスティバルの課題をもとに今年は高齢者が利用することを想定して製作しました。前回の性能はそのまま引き継ぎ、また今回は折りたたみ可能な車体へと変更しました。しかしながら改善点も多くあり、これから改善していきたいと思っています。今回の製作ではメンバーがそれぞれの事情で上手く集まれず、難航した場面もありましたが、最終的にはできあがって本当に良かったです。今年で自分たちは高校3年生になりますが、積極的に部活に参加して次の製作に関わって行きたいと思います。

小野 泰聖
「高齢者でも使い勝手が良い」という課題をもとに、私たちは今年度を通して今回の作品を製作しました。課題を達成するべく、一人でも楽に折りたたみができるような構造とすることに尽力してきました。また、事故を未然に防ぐためにオートブレーキ機能の改善を繰り返してきました。これらのことを直してもまだまだ改良の余地があることがわかったので、私たち高校生の可能性を信じてさらにより良いものを作っていこうと思いました。これからも応援よろしくお願いします。

日常の使い方

・使用目的:実験・研究。

・使用頻度:月2回程度。

・充電器と充電方法、トラブル、充電に際しての注意点:専用充電器を接続するだけで、4時間程度で満充電でき、自動的に終了します。

車両データ(PDF)

折りたたみ時のKPCEV-09。

乗車した状態。

自動ブレーキシステム。

製作したサイエンス部員。

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