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お知らせ

中学生ハイブリッドカー組立教室開催のお知らせ

教室レポート

第1回 2007年6月23

第2回 2007年8月1日-エコパークビレッジにて

第3回 2007年10月13日

第4回 2008年1月19日

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日本EVクラブ

 

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中学生ハイブリッドカー組立教室第2回レポート

中学生ハイブリッドカー組立教室第2回 8/1開催
開催日:2007年8月1日(水)
開催場所:富士エコパークビレッジ(http://www.fujieco.co.jp/

photo2007年の8月1日に、中学生ハイブリッドカー組立教室の第2回目が、山梨県の富士ヶ嶺にある「富士エコパークビレッジ」で開催されました。中学生教室でここに 来るのは、一昨年に続いて2回目。参加した中学生は16人。当日は1日中晴天で、間近に富士山の雄大な姿を見た生徒たちからは感嘆の声がもれていました。

富士エコパークビレッジは、日本EVクラブ会員の今井雅晴さんが設立した体験型の環境学習センターです。山梨県側の富士山裾野にあり、自然豊かな丘陵地帯に 囲まれています。最大の特徴は、140年前に建てられた武家屋敷を移築、自然の素材を多様して環境対応型建築にしたセンターハウスです。今回の組立教室で は、センターハウスに盛り込まれたアイデアの数々も紹介しました。

まず午前中は、富士エコパークビレッジ代表の今井さんの講義からスタートです。今井さんは八王子で電気機器の販売会社を経営しているほか、全国各地の小中高および大学で環境をテーマにした講演をしています。熱のこもった話ぶ りに、生徒たちの表情も徐々に真剣みを増していました。

講義内容は、省エネの必要性と具体的な方法の紹介が中心でした。原油価格が高騰し、一方で日本の消費エネルギーが増え続けているいま、個人のちょっとした工夫で実践できる省エネは、みんなで実行することで非常に有効な環境対策となります。

富士エコパークビレッジは、そうした工夫を詰め込んだサステナビリティのある施設になっています。例えばここで出る生ゴミは施設内で飼っている鶏やヤギのエ サになり、人や動物の糞尿はミミズファームでコンポスト化して野菜の有機肥料として使います。こうして食の循環が成り立っています。

センターハウスのエネルギーは基本的に、太陽光、風力による発電で賄っています。天候の関係などで発電量が不足する場合は、廃天ぷら油から精製したBDF(バ イオディーゼル燃料)を使用した発電機を使います。ちなみに、子供たちが東京から富士エコパークビレッジまで乗ってきたバスは、天ぷら油を再利用した BDFを燃料にしていました。

センターハウスは、壁や屋根に自然素材の断熱材を入れています。壁の断熱材は、麻、木くず、もみがら、パル プ、ワラなど。これを60cmほどの厚さにして敷き詰めてあります。屋根にはリサイクル利用したウールを張っています。外壁はワラを混ぜ込んだ漆喰です。 また、大きなコンクリートのデッキは二重構造になっていて、中に断熱材を入れています。こうした構造にすることで、海抜1000mにもかかわらず、冬でも 室内はかなり暖かいそうです。もちろん夏は涼しく、冷房不要です。

トイレは、尿ピットにより尿の水分と糞を分け、糞は腐葉土、木くずのバ クテリアで好気発酵のコンポスト処理をしているため、昔のくみ取り便所のようなメタンの臭いがありません。臭いは、水分が多い中で嫌気発酵をすると出てき ますが、富士エコパークビレッジのトイレのような好気発酵は臭わないそうです。

今井さんは、一般の住宅に少し手間をかけることで「経済的にもトクになる」と言います。元来、サステイナビリティのある環境対策とは、そうしたものかもしれません。
「化 石燃料一辺倒になっている現状から、エネルギーを分散する必要があります。電気もそのひとつです。電気の消費が増えると原発が必要になるという声も出ます が、今の私たちが使っているエネルギーを3%減らせば今以上の発電所はいりません。エネルギーの削減は、ちょっとした工夫でできること。これからの世界 は、こうした努力をしないといけないんだと思います」

講義に続いては、富士エコパークビレッジ内のあちこちに立ててある「エコクイズ板」で、環境についての知識を深めました。クイズの内容は「畑にキンセンカ(マリーゴールド)を植えるのはなぜか?(答:線虫の駆除用)」、「24時間営業の コンビニは、1日で一般家庭の何倍の電気を使う?(答:2ヶ月分)」など、ちょっとした雑学自慢もなりそうなものばかり。

はじめは食事が 待ちきれずにブツブツ言っていた子供たちも、外を走り回っているうちに忘れてしまったようで、ヤギをからかったり、犬と駆け回ったりしていました。老若男 女問わず、自然の中にいるだけで楽しくなるのは時代を問わないようです。モノがなければないなりに、子供たちは自分で遊び方を考えます。

昼食後は、ハイブリッドカーの簡単な説明と組立です。とはいえ時間の関係もあって、今回の組立はタイヤとフェンダーの取り付けをしました。それでも子供たちには好評で、トルクレンチなど、初めて見る工具に興味津々の様子でした。

タイヤを付けたら、敷地内で恒例の試乗会。毎度のことですが、本物のクルマを運転したときのテンションの上がり方は相当なもの。ハイブリッドカーの後、富士 エコパークビレッジで保有している電気バイクに歓声をあげながら試乗した子供たちは、「もっと乗りたい!」「また来たい!」と言いながらハンドルを離しま せん。

中には昨年のハイブリッドカー組立教室と今年のEV組立教室に続いて今回の教室にも参加した強者もいるなど、乗り物に対する興味は尽きないようです。

自然に抱かれた富士エコパークビレッジの教室は、今回も大好評のうちに終了しました。

 

TEXT:木野龍逸

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