会員レポート
岡部 匡伸(東京都)
昨年のレポートでは皆様にご心配をおかけしました。2024年は無事回復し、ポジティブなレポートを出せると思っていました。11月までは……。心臓病からは本当に回復していて、主治医からも大学病院を卒業して近くのクリニックに移りましょうと言われていたのです。しかし……。
12月5日、いつも通り出勤し、回ってきた書類にサインしようとしたとき、字がうまく書けないことに気付きました。それ以外に異常はないのですが、片側にまひが出ているのでちょっと心配、どうしようかと思っていましたが、同僚が近くの脳外科のクリニックに行くことを勧めてくれました。
「なんでもなかったら戻ってきます。」と上司に告げて、徒歩で近くのクリニックへ。少し不自由な手で問診表を書いて渡したらすぐに検査に呼ばれ、たくさん待っている人がいるのに一番で診察。MRIの画像が映るモニターには左頭頂部に10円ハゲのような白い影。先生からは「脳梗塞です。大きな病院に行きましょう」との宣告。かかりつけの大学病院を希望して紹介状を書いてもらいました。タクシーで行けとの指示、駅のすぐ近くなので電車のほうが絶対早いのですが……指先以外に異常がなく、まだ事態の深刻さがわかっていませんでした。
大学病院に到着して外来で紹介状を渡すと、添付されたデータを確認した医師から緊急入院を告げられました。最低1週間は経過観察とのこと。脳保護薬の点滴がはじまり、翌朝まで絶対安静、食事はおろか排泄もベッドの上と指示されました。頭を打ったら動かしてはいけないと、よく言われますが、脳の症状が出たときは、ちょっとした刺激で場所が動いたり悪化したりするので、基本動かしてはいけないそうです。本当は歩いて病院に行ってはいけなかったのです。というわけで絶対安静、ベッドを起こせるのも30度まで、この姿勢で食事とのこと。かわいい看護師さんが一口ずつ「あーん」、という期待がないわけではなかったのですが、大学病院の看護師さんがそんなに暇なわけはなく、「ゆっくり食べてくださいね」とやさしくトレイを置いてくれただけ。30度の姿勢での食事、結構つらいですが、検査で昼食が抜けた空腹に勝てず、完食しました。
翌朝からは起きられるようになりましたが、点滴を受けながらリハビリと検査の毎日。心臓から血栓が飛んだ可能性があるので循環器科と脳外科の医師が交互に回診に来て両方で検査。結果はどうやら「心原性」とのことでした。その後はリハビリで順調に回復し、翌週には退院できました。検査の日程の関係で退院が伸びて、昨年に続いて総会を欠席してしまいました。
さて、脳の病気を発症すると、運転免許の欠格事由になりますので、適性検査を受けて更新となります。不合格になると免許は取り消しです。医師からは運転は可能との判断はもらっていましたが、更新まで運転は禁止。私は、たまたま更新時期だったので、退院後に運転免許試験場に(もちろん電車で)行きました。手順は通常の更新と同じですが、途中でラインを外れて相談窓口に行き、面談の後、シミュレータでの適性検査を受けました。私の場合はごく軽症だったので、視野の検査とブレーキの反応時間の検査くらいで合格し、後は通常のラインに戻って講習を受けて新しい免許をもらいました。3ヶ月以内に診断書を送って審査を受ける必要があるので、病院に専用の用紙を出して依頼、診断書の提出から1ヶ月くらいで公安委員会から「運転可」とする書類が届き、晴れて路上に復帰できました。大丈夫とは思っていましたが、何となく不安でした。
2024年の年末も自宅療養になってしまいました。少し右手の力が弱い気がしますが、免許もつながり、後遺症もなく社会復帰できました。その後の検査でも新たな異常はなく、とりあえず治ったようです。今は心臓の薬を調節しながら様子を見ています。日常生活に支障はありません。脳外科の病棟には整形外科でもないのに腕を吊ったり松葉杖をついていたりする人、記憶障害や言語障害が出ている人など、様々な人がいました。私はごく軽症でしたが、先生に言わせれば「たまたま運が良かっただけ」とのことでした。
ある程度の年齢になれば脳梗塞はだれにも起こる病気です。とにかく、体の片側に異常が出たら、軽症でも脳梗塞を疑ってください。脳梗塞は脳出血と違って頭痛が出ないので放置しがちです。治療できるかは時間の勝負です。救急車を呼ぶのにためらいがあるときは救急相談#7119 に電話してください(実施していない地域あり)。脳梗塞には脱水が大敵だそうです。入院中はコーヒー禁止でした。考えてみれば私は1日中コーヒーを飲んでいました。退院後、コーヒーは1日1杯にして後はほうじ茶に変えました。私はお酒はやめていますが、アルコールは汗からは抜けません。サウナで酒を抜こうとするのは、脱水になるだけで脳血管障害や心筋梗塞へ一直線の自殺行為です。
仕事をリタイヤしたら、支部のクラブハウスと称していた山荘で田舎暮らし、と思っていましたが、医療から離れることができなくなりましたので諦め、先日松本駅の近くに中古ですがマンションを買いました。駐車場にコンセントがないのでEV導入からは遠ざかってしまいましたが、大病院に歩いて行けるので便利です。今は週末の別荘代わりですが、移住して暮らせればと思っています。古いですがリフォーム済みなので快適です。少しはポジティブに考えないと……。
今回は、自動車を楽しむにもまずは健康ということを痛感しました。還暦の年末も昨年に続いて大変なことになってしまいました。2025年の目標は、「入院しないで健康に過ごすこと」です。2025年度もよろしくお願いします。