人生、グランドツーリング
石崎 啓幸(神奈川県)
確か徳大寺有恒さんのお言葉だったと思いますが、半生を過ぎて近しい方々をお送りする機会があると「自分の人生は果たしてどんなツーリングだったのだろう」と自問することが増えました。
2024年はEVにとって一気に嵐の年となりました。欧州のEV販売が振るわずメーカーの不振が伝えられる一方で、中国製EVの販売は好調で一気に躍進となりました。事情はさまざまでしょうが、特にEVのような開発途上の商品では開発スピードと価格戦略が重要になり、中国メーカーはこの点で他国メーカーを凌駕したのだと思われます。
国内のEV販売はどうだったのでしょう? 2024年の国内EV販売数の平均は月5,000台前後、自動車販売台数に占める割合は2%以下でした。個人的にはサクラはよく見かけるように感じますが、台数はやはり少ないのかな、ということでしょうか。
さて、振り返って思い出すと、我が家に初めて来たクルマは「カローラ」でした。当時まだ珍しかった「姫ドライバー」だった母親が購入したものでしたが、当時は車検2回目で買い替えるという今では考えられないお大尽ぶりで、カローラを3台ほど入れ替えて、その後「コロナ」に格上げ(このころの憧れは「いつかはクラウン」だった)。これも3台乗り換え(ニュアンス伝わります? カローラはセールスマンの言いなりで買い替えしたのに対し、コロナは自分の意志が入っているのです)ました。
運転免許を取って初めてのクルマはワインレッドのGXというグレードで、友達と箱根に走りに行ったりしていましたが、とにかくすべてが「柔らかい」感触で、特にパワステときたら路面の状況などまったく伝えずただ軽いだけのものでした。
友達の(親の)アコードセダンのビシッとしたサスペンションとハンドリングに驚き、いつかこんなクルマが欲しいと願い、次のモデルチェンジでFF化した際に、廉価版ながらEFI搭載エンジンのコロナSXハッチバックを購入するよう親に進言し、手に入ったら連夜箱根やヤビツ峠(神奈川県秦野市)に走りにいっておりました。当時は熱い学生ドライバーだったのです。
その後、妹が免許を取ると「コロナでは大きくて運転しにくい」ということで「フェスティバ」に買い替え、自分は社会人になり、当時創刊された「Be-Pal」に触発されてにわかアウトドアライフ愛好者となり「ダットラ ツインキャブ4WD」を購入。通勤に使うも、燃費が激しく悪くリッター4km程度で一年半で手放し。何を思ったのか「グランドシビックSR」を購入しました。残念ながらこのクルマは居眠り運転で半年でお釈迦となってしまい、「次は走らないクルマは何?」と考えて出た結論は、シトロエン2CVでした。
このクルマには14年乗りました。これで栂池や万座温泉までスキーをしに出かけたり(万座プリンスの上り坂が登れず苦労した)、第一回のEVフェスティバルに矢田部まで行ったり、子供を乗せて鎌倉山の桜見物をしたり・・・。カミさんと一緒に横浜まで英会話教室に行ったりしました。元町を走っていたとき鉢合わせをした旅行者とおぼしき外人の方の驚いた顔を今でも思い出します。もし叶うならもう一度乗りたいクルマです。
カミさんの乗っていた「スターレット」の後釜も無理を言って「シトロエンBXブレーク」を購入しました。このクルマもキャンプにスキー、時々仕事にも使いました。トイレットペーパー12ロール8個入の段ボールを6箱積んで勤務先の店まで持ち帰ったこともあります。
搬出先の担当者から「こんなに車高下がって大丈夫ですか?」と言われエンジンをかけて車高自動調整したときの「?」の驚きも自慢でした。このクルマも7年乗りました。
そうして時が過ぎていく中、子供の学費がかさみ始めクルマの経年劣化も進み「BX」は「エグザンティアブレーク」に、「2CV」は「プジョー306マニュアル仕様」に乗り換え、これもクラッチがダメになったため中古の「コルト」に乗り換えました。このクルマもよくできた内容でしたが、2010年に「アイミーブ」が発売となったのを機会に買い替えました。
「アイミーブ」では毎年の筑波EVフェスティバルに参加しました。バッテリーの劣化を身をもって体験(年を重ねるごとに1充電走行距離が減っていき)、特に帰りはギリギリで帰宅することもありました。12年も乗ればバッテリー交換しなければこのような事態になることはわかっていましたが、その交換もバージョンアップされるなら考えたのですが、メーカーにそんな考えはなく、ではと2022年「サクラ」発売前に購入を決意、9月納車となりました。
今まで乗ってきたクルマ遍歴を振り返ると、当たり前ながら愛着のあるものほど手元にある期間が長かったことがわかります。
「BXブレーク」では会社帰りにそのまま京都まで夜を徹してドライブしたこともありました(COP3関連イベント参加のため)。あれがEVだったらもっと楽だったろうに、と考えることもありますが、同時に「今では難しいかも」と思い直すことも。
最近では渋滞と夜間走行が苦手になり、昼間ぷらっと運転する程度。長距離移動もしたいけれどどれだけ続けられるか? なんとなくそんなことを思うこの頃です。
あ、結局グランドツーリングのつもりが車種遍歴になってしまいました。いつもながら申し訳ありません。
今年もイベント、期待しています。