Member's Report 2024

持続可能な未来に向かう白馬村

白馬EVクラブ/渡辺 俊介

2024年5月、白馬村は、今後の環境施策の指針となる「白馬村ゼロカーボンロードマップ」を発表しました。これは、持続可能な未来に向けた2030年までの環境アクションプラン。世界各地で異常気象による深刻な気象災害が発生するなど、私たちは既に気候変動の影響を受け始めており、白馬村でも、良質な雪の減少や一年を通じた気温の上昇が着実に進行。国内外の人々を魅了するパウダースノーを含む四季を通じた類い稀な山岳自然環境と、地域の文化を育んできた里山や姫川源流など豊かで美しい自然と景観に恵まれた白馬村にとって大きな脅威です。

「白馬村ゼロカーボンロードマップ」では、2050年までにゼロカーボンを実現することに加え、2030年のCO2排出量を2016年比で60%削減することを新たな目標として定めました。持続可能な社会の実現に向けた環境分野の取組は4つの重点領域で構成され、このうち移動の分野では、自家用車や商用車の電動化を推進するだけでなく、住民と観光客の双方の交通利便性を向上させながら脱炭素を実現するために、新たなゼロエミッション移動サービスなど移動の選択肢を拡充させることで、自家用車に頼らないまちづくりを進めることが、村民の生活の質および観光客の滞在体験の向上に繋がるとしています。

白馬村では既に、EV・FCEVの購入や、家庭や事業所へのEV充電設備設置に独自の補助制度を設けています。そして今後は、公用車のEV・FCEV化、村内の事業者と連携したシャトルバスやタクシーのEV・FCEV化、マイクロモビリティやシェアリングといった次世代交通サービスの導入検討などを進める計画です。同時に、自然環境および景観と調和した再生可能エネルギーの導入を進め、地域内で安定供給するためのサイクルを構築することが重要です。特に白馬村では、水資源が豊富なことから小水力発電の導入ポテンシャルが高く、水素や雪氷熱といった自然エネルギーの利活用も検討が始められます。

2024年7月に開催された『第11回ジャパンEVラリー白馬』には、101台が参加しました。ここ数年で市販EVの車種が大幅に増加していることもあり、16メーカー38車種のEV、PHEV、コンバートEV、FCEVが白馬に集結。イベント期間中は、オーナー同士で交流する、最新モデルや最新技術を体験する、白馬の自然やアクティビティを満喫するなど、楽しみ方の自由度も広がりました。そして、EVミーティングに参加して充電インフラや環境エネルギー問題について考え、意見を交換し、発信していくことも『ジャパンEVラリー白馬』の重要な意義の一つです。
2025年の『ジャパンEVラリー白馬』も、たくさんの方にEVでの旅を、そして白馬を楽しんでいただけるような、そして気候変動に対する具体的なアクションに繋がるイベントを目指します。

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