【第2回】Q. 未来の車は、EVしかないのですか?

質問されたのは前回と同じ「親子電気レーシングカート組立体験&EV試乗会」に参加された30代のお父さんです。今回も難問ですね

A. 「EVにしますか。それとも自動車やめますか」

親子電気レーシングカート組立体験&EV試乗会」についてはホームページをご覧いただくとして、「親子...」とはなっていますが、本来はEVに関心のある30代、40代の方に向けた教室なのです。
こうした世代の方にぜひEVのいろいろを知っていただきたいと「EV、PHEV試乗&ゼミナール」を数多く開いてきました。というのも、こうした方々であればEVを購入していただけるのではないかなと思ったからです。

しかし、回を重ねる内にだんだん参加者が減ってしまいました。EV熱は冷めてしまったとも思ったのですが、ある出席者から、「このセミナーに出ると、翌週から女房のサービスが悪くなって、子供も冷たくなるんですよ」というお話を聞きました。「おとうさんだけ、ずるい」というわけです。せっかくの土、日ですから一緒に出かけるなり、公園で遊んでやらないと機嫌が悪くなるということでした。

そこで親子で勉強できる教室にしたところ、たくさんの参加者が来てくれるようになりました。そして、子供の明るい笑顔とお父さんの見開いたまなことお母さんの興味津々の目が教室に満ち満ちました。参加者が増えて参加費が増えて、いっぺんに家族にEVをご理解いただけ、試乗もしていただけるという一挙三得の効果が得られました。嬉しいことに教室で購入するEV選びをする家族まで現れ、これはEV普及に効果大だと思いました

自動車のほとんどは自家用車で、そのほとんどは家族で使われるのでした。世界中で家族は一番大事なものですから、その選択は家族全員でするのでした。EVもまたしかりです。

コロナ禍で今はお休みしていますが、近々にまた開校しようと思います。開校のご案内をしますので、日本EVクラブのHPをときどき覗いてみてください。

ということで前置きがとても長くなりましたが、質問者のお父さんの真剣さがお分かりいただけるとありがたいです。

未来の自動車はEVしかないのかというご質問ですが、
ずばっと言ってしまえば、「EVにしますか。それとも自動車やめますか」ということです。

自動車なる形態の移動の機関を未来にも存在させようとするならEV(ここでは広く電気動力車)しかありません。ただし、その未来が20年ほどの未来であれば、この限りではありません。

2050年までにCO2の排出量をゼロにすることは、ほぼ世界的な約束と考えてよいでしょう。罰則があるかどうかは分かりませんが、CO2を排出してしまう国は、政治的に、経済的に他の国の引き締めに遭うことでしょう。

その場合、考えられる自動車はバッテリーで走るBEV、水素で走るFCEV、CO2を排出しない燃料(100%バイオ)で走る内燃機関自動車です。
この中で車両価格、エネルギー供給インフラ、燃料代、維持費、走行性能、利便性でもっとも優れるのはBEVです。

ただし、すべての自動車が今すぐBEVになるわけではなく、超々低燃費の内燃機関自動車、HEV、PHEV、FCEV、代替燃料内燃機関自動車などが、いろいろな面で有利だと考えられる地域では2050年頃まで使われることになると思います。EV普及が義務化されていない日本では、かなりの間、HEVを中心に内燃機関自動車が使われると思います。

一方、北欧、ドイツ、フランス、イギリス、中国、米国等では、EVの販売台数が義務化され、さらに踏み込んでいずれEV等ゼロエミッション自動車しか販売が認められなくなりますから、国、地域によっては2050年以前にEV社会が訪れると思います。

ただ、自動車好きの私が心配していることがあります。現在の自動車がエンジンをモーターに替えただけで、果たして21世紀にそのままの姿、機能、使われ方、愛され方で生き残れるでしょうか。私には大きく変わってしまうと思えるのです。このお話の続きは、そんなご質問が来た時にしましょう。


次回のご質問は教室に参加した子供さんからのものです。
「どのていど(充電)スタンドが配置されると、ガソリン車とおきかわりますか」
というものです。また難問です。読者のみなさんは、どう答えますか。

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