各地から集まってくださったみなさんと!

各地から集まってくださったみなさんと!


『日産リーフ』東京〜白馬のロングドライブ充電レポート!

2012年8月27日。日本EVクラブのイベント『EVで白馬へ行こう!』が開催された。縁あってEVクラブと交流が生まれ、電気自動車充電用の200Vコンセントを新たに設置してくれた白馬の宿を、全国各地から、みんなで、EVで訪ねようという催しだ。

事務局からは、舘内代表をはじめ4人のメンバーが日産リーフに乗り込んで白馬を目指す。全国的に急速充電器の設置台数が増える中、市販EVによるロングドライブにとって「急速充電器の実情」は気になるところ。さらに、今回の往路では「充電器空白地帯」としてEV乗りに恐れられている軽井沢を越えるルート(上信越道経由)を走ってみた。東京〜白馬の充電レポートをお届けしよう。

START

スタート

晴天にも恵まれご機嫌な舘内代表

【DATA】
出発時刻:0810
場所:日本EVクラブ事務局近くのコインパーキング
残量目盛:■■■■■■■■□□□□(08)
走行可能距離:111km
トリップ:0.0km

前日、お台場で開催した別のイベントで使用してそのまま事務局に戻っていたため、満充電からのスタートではない。事務局号の日産リーフには、舘内代表をはじめ、事務局の石川響子さん、日経BP社の『ecomam』編集長、久川桃子さん、日本EVクラブ公式HP編集長である私、寄本好則の4名が乗り込んだ。

CHARGE:1回目

充電区画で寝ていた軽トラックに移動してもらい充電開始!

【DATA】
到着時刻:0840
場所:ファミリーマート 豊玉中三丁目店
充電前残量目盛:■■■■■■■□□□□□(07)
充電前走行可能距離:87km
トリップ:9.8km

出発時刻:0900
充電後残量目盛:■■■■■■■■■□□□(09)
充電後走行可能距離:127km

今回の往路では、関越自動車道から上信越自動車道で長野を経由して白馬を目指すルートを選択。高速道路に乗る前に、都内のコンビニに急速充電器があるという情報を確認するために『ファミリーマート 豊玉中三丁目店』へ。

到着すると、ちゃんと急速充電器は設置されていたが、充電用の駐車区画に普通の軽トラック(バン)が止まっていてドライバーがお休み中。店員さんに一声かけて、軽トラックに移動してもらって充電を開始した。ファミリーマートでは急速充電器設置をはじめ、エコロジーに配慮した店舗を広げるプランがあるようで、ここはその先駆的な店舗ということだ。

実際、充電している間、気軽に何かを飲んだり食べたり、トイレを借りたりできるコンビニに急速充電器があるのは、使い勝手としてありがたい。そもそも24時間営業のコンビニなら、24時間の充電にも対応しやすいだろう。自治体が設置費用を負担するなど工夫して、全国的に急速充電器付きのコンビニが増えることに期待したい。

充電時間は約20分。残量目盛はあまり増えなかったが、今回のドライブではできるだけ多くの充電スポットを検証する目的もあり小刻みに充電していくので、次の充電ポイントまでの電池は十分。ファミマでの充電を終えて先を急ぐことにした。

CHARGE:2回目

お店に一声かけてからセルフで充電開始。

【DATA】
到着時刻:1007
場所:関東三菱自動車販売花園インター店
充電前残量目盛:■■■■□□□□□□□□(04)
充電前走行可能距離:44km
トリップ:76km

出発時刻:1040
充電後残量目盛:■■■■■■■■■■□□(10)
充電後走行可能距離:128km

関越自動車道を花園インターで下りて、インター近くのディーラーへ。日産と三菱のディーラーがすぐ近くにあり、両方とも急速充電器を備えていたが、ここはあえて三菱のディーラーに立ち寄ってみる。もちろん、日産車だから三菱のディーラーでは冷たくされるなどということはない。

ひと声かけてセルフで充電開始。営業時間内のディーラーでは基本的にスタッフの方が充電作業をやってくれる。でも、対応してくださったスタッフさんが日本EVクラブをご存じで「どうぞご自由に」という雰囲気でセルフ充電することになった。メーカーのディーラーとはいえ、日本で、いや世界ではまだ急速充電のレギュレーションは定まっていないということだ。

現状の急速充電器は、おもに三菱と日産ディーラーの心意気に依存して増えている感がある。それはそれでありがたいことではあるが、今後さらに電気自動車の台数が増えてくると、急速充電器は信号機やガードレールと同じように社会的に不可欠な道路インフラになってくる。いつまでもディーラー頼みというわけにはいかないだろう。

飲み物サービス!

おまけに、どこのディーラーさんでも充電中に飲み物をサービスで出してくれたりするのが心苦しい。そのあたりの様子は、日経BPの久川さんが『日経ビジネスオンライン』で「東京-白馬300km、EVで走り切れるか」という記事を書かれているのでご覧いただきたい。

CHARGE:3回目

充電しながら昼食へ。

【DATA】
到着時刻:1130
場所:富岡市役所(北駐車場)
充電前残量目盛:■■■■■□□□□□□□(05)
充電前走行可能距離:64km
トリップ:124.5km

出発時刻:1240
充電後残量目盛:■■■■■■■■■■■■(12)
充電後走行可能距離:129km

関越自動車道や上信越自動車道のSAやPAに急速充電器は設置されていない。軽井沢を越える上信越自動車道への標高差は実に800m余り。横川SAを過ぎたあたりから過酷で急な上り坂になる。しかも峠の群馬県側沿道にはあまり急速充電器の数がなく、富岡市役所での充電が必須といえる。EVで軽井沢へ行ったことがある方は、おそらくかなりの割合でこの充電器のお世話になっているはずだ。

写真の右奥が充電器。

市役所のご担当者と話していると「先日、軽井沢で電池が切れてトランポで運ばれてきたEVがありました」とのこと。実は、その電池切れした日産リーフのオーナーさんは日本EVクラブの会員さん。電池切れエピソードも知っていた。クラブ会員さんとの繋がりに、役所のご担当者と意気投合するきっかけをいただいてしまった。

意気投合できたおかげで、興味深いお話しを聞くこともできた。富岡市役所に設置されている充電器は、急速充電器といいつつ「20kW」の充電器だ。「50kW」仕様に比べて充電には時間がかかり「中速充電器」と呼ばれることもあるバージョンだ。なぜ20kW仕様を導入したのか伺うと「電気の基本料金がまるで違う」から。50kWといった大容量の電気契約の基本料金は月額数万円。おそらく工場などの大口ユーザーを想定した設定になっているのだろう。でも、急速充電器が大きな電気容量を必要とするのはわずかな時間だけ。高額な基本料金は急速充電器普及の大きな壁になる。このあたりも、EV普及に向けた規制緩和や制度改革の課題といえそうだ。

CHARGE:4回目

工場の看板がアメリカン風。

【DATA】
到着時刻:1409
場所:長野日産自動車上田店
充電前残量目盛:■■■□□□□□□□□□(03)
充電前走行可能距離:41km
トリップ:211.5km

出発時刻:1446
充電後残量目盛:■■■■■■■■■■■■(12)
充電後走行可能距離:155km

富岡から軽井沢を越えて上田へ。充電ポイントに選んだ長野日産自動車上田店はインターからやや距離がある。小諸の三菱で充電する選択肢も検討したが、長野の三菱は定休日。事前に確認せずに走っていたらあわててしまうところだった。ちなみに、最近は東名のSAに設置されている急速充電器が「故障している」という登録会員向けメールの通知がよく届く。EVのロングドライブでは、事前に充電ポイントを確認しつつしっかりと計画を立てることが大切だ。

さて、富岡から上田までの距離は87km。富岡市役所では昼食休憩を兼ねてしっかり充電したから普通なら余裕で到達できる距離。でも、800m以上の標高差はEVにとって過酷な走行条件だ。案の定、碓井軽井沢出口の手前あたりで、上田の日産まで約50kmを残し「このままでは目的地に到達できない」という警告が表示された。

でも、事前にルートの起伏は調べておいたので、碓井軽井沢出口を数キロ過ぎたあたりからずっと下りが続くことがわかっていたから、不安になったりあわてることはなかった。結局、上田の日産に到着した時の残り走行可能距離は41km。ほぼ満充電から高速道路を約90kmを走った後の数値としてはそれほど悪くない。上りがあれば下りがある。800mの標高差を越えても、最終的にはそれなりに帳尻が合うということだ。ただし、ピーク地点に辿り着く前に電池が尽きればこんなことは言っていられない。くれぐれも、EVロングドライブには計画が大切だ。

CHARGE:5回目

白馬に向けて、最後の充電。

【DATA】
到着時刻:1526
場所:長野日産自動車長野大橋店
充電前残量目盛:■■■■■■■□□□□□(07)
充電前走行可能距離:99km
トリップ:250.8km

出発時刻:1608
充電後残量目盛:■■■■■■■■■■■■(12)
充電後走行可能距離:168km

上田から白馬まで、一気に走れない距離ではなかったが、できるだけ数多くの充電スポットを検証するために、あえて長野市内で再び日産ディーラーへ。距離に余裕があることはわかっていたので、あまりエコ運転を気にせずに走行した。電池残量を気にすることがなければ、EVは本当に快適な移動装置であることが実感できる。

こちらのディーラーは長野日産自動車の本社でもあり、スタッフの方が充電作業はすべてやってくださった。日産ディーラーでは、リーフオーナーの会員制度があり、会員以外の充電には1回525円の料金が必要だ。念のために言っておくと、この525円は電気代ではなく「設備使用料」。充電の量には関係なく525円、ということになる。525円を高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれだろう。でも、実際にディーラーで充電するとサービスで飲み物を出してくださったりするし、むしろ料金を取ってくれたほうが気が楽だったりもする。

さて、最後の充電を完了し、ここからは国道と「オリンピック道路」と呼ばれる一般有料道を経由して、ゴール地点の白馬を目指す!

GOAL!

各地から集まってくださったみなさんと!

【DATA】
到着時刻:1706
場所:あぜくら山荘
充電前残量目盛:■■■■■□□□□□□□(05)
充電前走行可能距離:50km
トリップ:299.8km

東京からおよそ9時間。17時過ぎに白馬の『あぜくら山荘』に到着した。

ちなみに、今回の白馬訪問は、この『あぜくら山荘』と、『カナディアンヴィレッジ』という二軒の宿のご主人がキーパーソン。以前のイベント告知記事でご紹介したように、白馬をEV天国にするための第一歩として、この二軒の宿が電気自動車用の200Vコンセントを新たに設置してくださった。もちろん、到着後は200Vコンセントでたっぷり満充電(参加各車で充電スケジュールを組んでコンセントを分け合いながら)で翌日に備えたのだった。

今回の旅の目的のひとつが、2014年に開催を目指す『日本EVラリー』(仮称)の構想会議。詳しいことは改めてご紹介するとして、充電記、これにて往路編の完結だ。

取材・文/寄本好則(三軒茶屋ファクトリー

『EVで白馬へ行こう!』そのほかのレポートはこちら↓
充電記 現地編
充電記【現地編】

充電記【復路編】