日本EVフェスティバルって何だ?

そもそもは「モナコを買う会」

EVを量産して大儲けしてモナコを買おうという「モナコを買う会」があった。1994年のことだ。首謀者はわ・た・しである。

もちろん冗談だが、今やEVベンチャーのテスラ社のイーロン・マスク氏が大化けすると本当の話になるかもしれない。                                           「モナコを買う会」でいろいろ話す中で、「EVでル・マンに出よう」ということになった。そこで自動車研究所のテストコースでまずは24時間耐久テストをやろうということになり、テストコースを借りることになった。しかし、シミュレーションしてみると、交換用の電池を400mも並べなければ24時間を走れないとわかり、テストは頓挫した。                                                                           そこで、せっかく借りたテストコースを有効利用しようということになって、第1回の日本EVフェスティバルが企画されたのだった。1995年のことであった。今年は、なんと22回目だ。

建前は?

ウソ偽りなくCO2削減だ。                                                                            世界の自動車が排出するCO2は、年間でおよそ66億トン。世界の排出するCO2の20%である。日本の平均的自動車オーナーは年間2トンから4トンものCO2を排出しているから、当然の数字である。                                                             このCO2はどこへ行くかというと、大気中に溜り、地球を暖めた太陽の熱が宇宙に逃げるのを妨げる。その結果、地球は温暖化し、たとえば日本を襲う台風はこれまで襲ったことがほとんどない東北や北海道に上陸し、北米を縦断するロッキー山脈の降雪量を減らし、カリフォルニア州は年間を通じて渇水状態となり、森林火災が頻発することになった。このまま自動車を使い続けるわけにはいかない。                            そこでエンジン自動車をEVに切り替えてCO2排出量を削減しようというのが、日本EVフェスティバル開催の建前である。日本EVフェスティバルは、EVの普及促進運動なのだ。

本音は?

本音もウソ偽りなくCO2削減だ。ウソばっかりの日本の政治や社会に慣れてしまうと、日本EVフェスティバルにも建前と本音があると思うのは自然かもしれないが、日本EVフェスティバルはそんな日本にあってウソをつかない珍しいイベントなのである。                            自動車はアクセル全開で走ってナンボの存在である。だが、20世紀型の(エンジン)自動車では排気管から地球温暖化物質を排出してしまうので、アクセルを踏むたびに悔恨の念にさいなまされる。きっとそうした自動車ファンが多いと思う。しかし、走行中にCO2を排出しないEVならサーキットにおいて自動車の本来のあり方を楽しめる。つまり、建前と本音が一致させられるのだ。

目標は自動車酒池肉林

酒池肉林は「しゅちにくりん」と読む。司馬遷によって編纂された「史記」にある。酒で満たされた池と、肉を刺した林を指し、贅沢の極みの代名詞だ。ちなみに、肉は「肉欲」のことではない。豚肉である。自動車で酒池肉林をやろうというのが日本EVフェスティバルの最終目標だ。ただし、このままではSNSで大攻撃を受け、このブログは炎上するので説明しておく。                                                   産業革命から20世紀まで、先進国はまさに酒池肉林の世界にあった。湧き上がる安価な石油エネルギーで産業を興し、発展させて、豊かな生活を享受した。だが、産業革命とそれによる経済発展は、世界を貧乏人と金持ちに二極化したことで、貧乏人からの反逆を受ける。まずは経済発展を支えた石油からの反撃だ。70年代に起きた2度のオイルショックである。これ以降、先進国は廉価な石油による経済発展が難しくなっていく。         一方、圧倒的な輸出力で世界の富を蒐集し、アメリカンV8自動車で酒池肉林を謳歌していた米国は、1ドル360円という現在では信じがたい円安による日本の米国への輸出攻勢等、米国を除く先進国からの輸入増に苦しみ、ついに金とドルの交換体制を中止する(ドルショック)等、資本主義がほころび始めていた。                                                                                   そして石油を中心とした化石燃料の多消費による地球温暖化である。環境面からも(化石燃料を使った)酒池肉林は不可能になった。自動車はひたすら燃費を良くしなければならず、それでも運転はアクセルをじとっと踏む省エネ運転が必須となった。20世紀型自動車酒池肉林の終焉である。    しかし、無尽蔵の自然エネルギーを使って自動車を走らせれば、自動車は環境・エネルギー問題から自由になれる。再び自動車による酒池肉林が可能だ。日本EVフェスティバルが目指すのは、太陽光、風力、水力、バイオ等の自然エネルギーで充電した電気自動車でアクセル全開で走ることだ。その日が来るまでは、アクセル全開は1年にたった1回の日本EVフェスティバルで我慢しなければならない。

何するの?

いろいろある。まずはHPをご覧あれ。                                                                     たとえば市民がガソリン車を電気自動車に改造(コンバート)したEVでレースをするコンバートEV1時間耐久レース。それからレーシングカートを電気に改造したERK(エレクトリック・レーシングカート)の30分耐久レース。いずれも最高速は150km/h近い。それこそアクセル全開で走るから、20世紀型モータースポーツ・ファンにも見ごたえがある。                                                                これからEVマニアになりたいという人、あるいはEVに入門したい人、EVやプラグイン・ハイブリッド車を買おうと思っている人には、最新のEV、プラグイン・ハイブリッド車の試乗会がある。日本EVフェスティバルの会場である筑波サーキットのコース1000でハンドルを握ってもらう。しかも隣には著名モータージャーナリストが乗ってのドライビング・レッスン付きだ。アクセルを踏むべきところでは、「はい。アクセル全開にして」と指導されるから、頑張ってください。                                                                                  EVオーナーには恩典がある。ご自身所有のEVでコース1000を思いっきり走れる。ただし、基準タイムよりも速いと失格だ。だが、基準タイムはけっして遅くない。きちっとサーキットの走行ルールを守らないと出ないタイムだ。レーシングスーツは不要だが、ヘルメット、グローブはご用意を。

なんでもEV展示もある

電気で動く乗り物なら何でも展示してもいいというコーナーもある。日本EVフェスティバルで最も過激で21世紀的なコーナーだ。そこに日本EVクラブが出展するのがE3という電気三輪車だ。ただし、前輪が2つで後輪が1つの通称リバーストライクルと呼ばれる三輪車である。とっても面白いっていう話は、次回にゆずろう。

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