いよいよEVの時代がやってきた!

世界がEVに動き始めている…

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昨年、ドイツのミュンヘンでアウディのEV戦略の発表会を取材しました。アウディは本気でEVを開発して発売します。大規模な投資をして、退路を断ちました。発表会のタイトルは『The time has come』というものでした。EVの時代がやって来たという意味でしょう。

アウディほどの伝統のある、つまりエンジンの開発に命を賭け、たくさんのエンジン車を生産、販売してきたメーカーが、「EVの時代がやって来た」というのです。これで世界が変らなければウソです。そしてアウディは、2020年に電化自動車のトップメーカーになるという決意をつけ加えたのです。

アウディが用意するEVは、小型EVと電気R8です。いずれも2012年には発売されます。そして、2020年には6桁の電化自動車を生産するとしています。つまり10万台から99万台もの電化自動車を生産するということです。

2012年から13年にかけてEVを販売するヨーロッパのメーカーには、アウディ以外にVW、ダイムラー・ベンツ、BMW、ルノー、プジョー/シトロエンがあります。おそらくこれにフィアットが加わって、ランド・ローバーを除いた全量産メーカーからEVが発売されるに違いありません。

VWからは、ゴルフとUPの電気版が、ダイムラー・ベンツからはスマトーとAクラスが、BMWからはEV専用車が、ルノーからは商用車を含めて4種類が、プジョー/シトロエンからはi-MiEVと専用車が、それぞれ発売されるでしょう。

一方、日本では現在のi-MiEVと日産リーフのほかに、12年にはトヨタからiQEVが、ホンダからはフィットEVが発売されます。そのほか、多数の超小型EVが中国から、レンジエキステンダーEVが米国から発売されるでしょう。まさに2012年は、EV爆発年なのです。

「EV講習会」を開催します

しかし、世界にはEVを知らない人たちがまだたくさんいます。また、EVを誤解をしている人たちもたくさんいます。そして、既得権を侵害される人たちからの反発はますます強まるでしょう。船出をするEVの前途は実は多難なのです。

こうした状況の中で、私たちはまずは正しくEVを理解し、胸襟を開いてEVを受け入れる必要があるでしょう。そうして得られた知識や経験を通じて、私たちには多くの人たちを啓発し、誤解を解き、正しいEV時代を築く義務があります。ますます日本EVクラブの役目は重く、大事になるということです。日本EVクラブは、正しいEV情報を多くの人たちに伝えなければなりません。

そこで、日本EVクラブでは、2011年度から「EV講習会」をスタートします。2010年に開催した「EV入門塾」はたいへんな盛況でした。「EV講習会」は、EV入門塾を卒業された方、それからもっと詳しくEVを知りたい方、EVの事業化を計画されている事業者、コンバージョンEV(改造EV)について知りたい方を中心とした講習会です。EV事業と改造EVを計画している人たちのための講習会とお考え下さい。どなたでも参加できます。

専用のテキストを作成します

これまでに日本EVクラブ会員のみなさんが作ったコンバージョンEVは、およそ300台あります。その努力と情熱に頭が下がります。しかも、改造のためのまとまったテキストがない中での製作ですから、どれほどか大変だったと思います。また、EV事業を考える人たちにも適当なテキストがありません。

そこで「EV講習会」のために、コンバージョンEVと事業化に向けたテキストを制作し、販売することにしました。このテキストは、現時点でコンバージョンを行なうのに必要な知識と情報を網羅しています。また、事業化を考えるにあたって必要最低限の基礎知識も得られるように工夫しています。

このテキストは「EV講習会」で使います。また、講習会に参加されない方にとっても、EVを深く知るのに役に立つ有意義なテキストになるはずです。ただし、小部数の発行のために大変に高額になることをお許し下さい。詳しい内容については、逐次、日本EVクラブのホームページにて告知しますのでお待ちください。

モノ造りと自動車の楽しさの復権

私たちがコンバージョンEVに夢中になるのは、そこにモノ造りと自動車の楽しさがたくさんあるからでしょう。改造が終ってモーターが回ったとき、ナンバーが取得できて公道を走れたとき、深い感動に包まれたと、たくさんの会員のみなんさからお手紙をいただきます。この感動こそ、私たちがもっとも大切にしたいものなのです。

人間は、ホモ・ルーデンス(ホイジンガ)といわれます。ホモ・ルーデンスとは「遊ぶヒト」のことです。「遊ぶ」といっても、いわゆる遊び人の「遊び」とはかなり違う概念ですが、遊びの中からたくさんの生きる知恵を学びます。生きるとは、そもそも遊びでもあるのです。

しかし、現代人はホモ・ルーデンスではなくなっています。現代人は「働くだけのヒト」=ホモ・レーバーに落ちぶれています。その結果、モノ造りの楽しさを失ってしまいました。そして、造られたモノに対する興味も失ってしまいました。これが自動車離れの本当の姿だと私は思っています。

自動車生産の現場からは笑顔が消え、自動車への愛も消え、ただ日々の生産計画を達成しようと働いているだけなのではないでしょうか。自動車の生産を楽しいと感じていないのだとすると、ユーザーにも自動車の楽しさは伝わりません。大金をはたいて自動車を買ってくれる人に、楽しい自動車ではなく苦しみに満ちた自動車を提供しているのだとすれば、なんともユーザーをバカにした話ではないでしょうか。

一方、私が中国に行ったときには、中国の自動車生産者たちからは、大変な熱気が伝わってきました。とくにEVを開発し、生産しようとしている人たちからは、凄い熱気が伝わって来たのです。これは、成長途上国の特徴といってもよいでしょう。かつて高度成長の最中にあった日本もまさにそうでした。

私たちは、モノ造りの楽しさと、自動車の楽しさを取り戻す必要があります。しかし、残念ながら現代の先進国においては、生産の現場でも、消費の現場でも、内燃機関自動車では楽しさを享受できないようです。

それがEVでは可能です。EVには、新規の開発でも、改造でも、モノ造りと自動車の楽しさがあふれているのです。それが、私たちがEVに夢中になる理由なのです。EVに触れるとき、私たちはホモ・ルーデンスになれるのです。

少々むずかしい話ですが、EVの事業化にワクワクするのも、この原理なのです。改造EVが売れてお金が入ってくるのは嬉しいことですが、それは単にお金が入ってきたことの楽しさだけではないことに気づきたいものです。私たちは、ホモ・エコノミスト(経済人)である前に、ホモ・ルーデンスなのです。お金儲けが先行したとき、この楽しさは霧散してしまいます。そこに残るのは苦しみだけです。

改造EVで一儲けしようというだけでは、けっして幸せになれませんし、その事業は成功もしないでしょう。何のためにEVを造るのか。改造するのか。もう一度、自分の胸に聞いてみましょう。「EV講習会」が、モノ造りと自動車の楽しさの復権に少しでも役立てることを願っています。

2011年1月
日本EVクラブ代表 舘内端

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