自動運転ERKへの挑戦

完成した自動運転ERK。

レポート/(株)デンソー 久禮 健司(愛知県)

DATA
ベース車:birel・TIA WT-III
完成日/製作期間:2019年10月/10ヶ月
ナンバー取得日:─
総費用:約1,000,000円

レポート

私たちDENSO自動運転ERKチームは、2018年にデンソー社内でEVカートに興味を持った有志によって開発をスタートさせ、昨年2019年のEVフェスティバルにて自動運転ERKでコース一周完走を達成しました。チームに参加した動機は「自分のスキルセットを磨きたい」「業務以外の分野の知識を蓄えたい」などメンバーそれぞれでしたが、みな共通に持っていたのは『「モノづくり」をしたい』という気持ちだったと思います。
読者の方は『デンソーの社員なのだからいつも「モノづくり」をやっているのでは?』と思われるかもしれませんが、現在の産業では開発・設計・製造の過程が細分化されているので、「モノづくり」をしているという実感が得づらくなってきています。自分で発案し、手を動かし作り上げ、それが動き出した瞬間の喜びを求めてメンバーが集まり、活動がスタートしました。

幸いにして私たちのEV活動ではすでに手動運転のEVカートを製作しており、シャーシを有していたので、これを改造して自動運転カートを作ることができました。とはいえ、集まったメンバーは自動運転の部署からの参加者はほとんどおらず、自動運転システムを一から作り始める必要がありました。
自動運転技術はもちろん多岐にわたります。正直、業務や家庭がある中で休日や早朝・夜の時間を捻出し、各メンバーが活動を進めていくためのモチベーションをいかにキープするかが正直なところもっとも難しかった点です。そのため、一歩一歩着実に動くものを作っていくことにしました。ラジコンによる自動運転ロジックの試走実験、カートへのコンピュータ搭載、テストコースでのデータ取りと実測データのフィードバックという各ステップでモノが動いた喜びを感じられるようにして進めることで、最後までやり切ることができました。

大会会場である“筑波サーキット”での確認走行は、最後までできず一発勝負でした。スタートしてからは、途中で止まらないかずっと緊張しっぱなしでしたが、最後のコーナーを抜けてフラッグラインを超えた瞬間は感動もひとしおでした。
2019年の目標であった完走は果たすことができましたが、まだまだスピードも遅く、将来的には混走も目指したいので、これからも歩みを続けていきたいと考えています。

日常の使い方

・使用目的:企業内教育での教材として活用予定。

・使用頻度:月2回程度。

・充電器と充電方法、トラブル、充電に際しての注意点:鉛72V仕様、定電圧電源で12V単位の充電をしており特にトラブル&注意点はない。

自慢話

本番コース(筑波サーキットコース1000)において、事前走行なしの一発勝負で完走できたこと。

失敗談

自動運転のロジックを検証する改造ラジコンカーでは、幾度となく暴走し、何度も壁に突っ込みました。

>>> 車両データ(PDF)

自動運転ロジックを検証するためのラジコンによる走行テスト。

2019年EVフェス「自動運転競技車タイムアタック」で最終コーナーを曲がりフラッグラインを目指すところ。

「自動運転ERK」の活動メンバー。

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